第2章 ぎこちなく響くアン・フェール【禪院家/狩人】
「あんま煽んな。こっちはギリギリなんだよ」
詞織を抱きしめ、フー…と震える息を吐き出し、荒れ狂う自分の中の熱を僅かに冷ました。衝動のままに、醜い獣のように詞織を抱きたくはない。
「分かってるから。『大好き』で充分だ」
目元や頬にキスを落とし、額を合わせた。
詞織の「大好き」という言葉が どれだけの価値を持っているのか知っている。
「メグ……好き。大好き……」
「俺も……オマエが好きだ」
――……愛してる。
その言葉を「好き」の裏に隠し、伏黒も詞織に繰り返した。
一つ繰り返すごとに、繰り返されるごとに……理性の糸が焼き切れる。
醜い感情も受け止めてくれる詞織に甘え、伏黒は詞織の細く小さな身体をかき抱き、これから先の戦いに感じる不安を慰め合うように、互いの熱を溶かしあった。
* * *