第2章 ぎこちなく響くアン・フェール【禪院家/狩人】
詞織の病室に戻った伏黒は、中へ入ると荒々しく扉を閉めて鍵をかけた。そして 詞織の身体を抱き寄せ、後頭部を固定して乱暴に唇を奪う。
「んぅっ⁉︎ ちょ……メグ……っ⁉︎ ふ……んぁ……っ⁉︎」
薄く開いた唇をこじ開け、舌を捩じ込んで口の中を蹂躙しながら、片手で制服のボタンを外した。力の抜けた詞織の身体を移動させ、ベッドに押し倒す。
「悪い、抱かせてくれ」
自分も学ランを脱ぎ捨て、シャツのボタンを外して熱を逃した。
「オマエが俺のだって実感したい」
それに、これから先 何が起こるか分からない。
もしかしたら、戦いの最中に離れ離れになることもあるかもしれない。
そんな隙間を今 埋めておきたかった。
「詞織……」
首筋に顔を埋め、柔らかで温かな匂いを吸い込み、強く吸いついて印をつける。
「……メグ……」
甘い吐息と共に名前を呼ばれると、キュッと心臓が切なく締めつけられた。少し身を起こしてキスをくれる詞織に、興奮して頭の芯が痺れてくる。
「メグ、好き。大好き。メグのこと、大好きで……これしか言えないけど……わたし……」
――「俺の気持ちは、オマエの言う『大好き』なんて言葉をとっくに超えてんだよ」
先ほど、苛立ちまぎれにそう言ったのを気にしているのだろう。ただ、伏黒は別に同じ気持ちを返してくれと思って言ったつもりはない。
そうしてもらえたらどれだけいいかと思うことはあっても、詞織に同じ気持ちを求めることが、彼女の尊厳を踏みにじることになると自覚している。