夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第11章 アディラートに奮い立つ【東京第1結界】
「その通り。表現が難しいんだけど、『契約の再現』――ってとこだね。つまり、こんなこともできる」
――【再契象】
レジィの取り出した紙が呪力に焼かれ、淡い光が彼に降り注いだかと思うと、細かな擦り傷や土汚れが消える。さらに、肌にも磨きがかかっていた。
「今 使ったのは五つ星旅館『星空亭』二泊三日オイルトリートメント付の領収書だ」
つまり、レジィは今 ゆっくり温泉に浸かって身体をほぐし、ぐっすり二日間 身体を休めた状態になったらしい。
「それに比べて君はどうだ? 先の戦闘で負傷、複数の式神の併用――ヘロヘロでしょ?」
複数併用はよくやっている。問題はその中に、本来は単体で使う【満象】が含まれていることだ。
「君、式神をすぐに出したり消したりするけど、一度 傷つけられた式神はそうはいかないんだろ? 走・攻・守の揃った犬を今は出せない。そのせいで、一芸の式神を併用せざるを得なくなってる。お互い出力の高い大技を持たない消耗戦。もう無理っしょ。君じゃ俺は殺せない」
――大技を持たない、ね……。
「そうだな。じゃあ、逃げる」
伏黒はきっぱりとそう言って、【鵺】を呼んだ。その足に掴まり、上空へ飛ばす。飛び上がってすぐ、マンションで かや子と対峙する詞織の姿が見えた。
詞織、と音にならない声で呟く。
心配なんて微塵もしていない。アイツが俺を心配していないのと同じように。