夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第11章 アディラートに奮い立つ【東京第1結界】
「あ〜ぁ、もったいない! せっかく譲渡ができるようになったのに、ハリー(針)の点がパァじゃん!」
「術式 出す前に殺されてりゃ世話ないぜ」
かや子と黄櫨が特級呪霊に抱えられ、レジィも傘でふわふわと降りて来た。
麗美がいない。アイツはリタイヤか?
それでも三対一。そのうえ、始めの爆撃が効いていて思うように身体が動かせない。だが、逃げるのは論外だ。
特級呪霊もいる。使うべきか、【領域】を。
だが、自分の【領域】は未完成で、結界を閉じて相手を閉じ込めることはできない。
【領域展開】は呪力を食うし、使用後はしばらく術式が焼き切れて使えなくなる。逃げられて、出し損で再戦が最悪のパターンだ。
こんなことなら、五条や星也に稽古をつけてもらえばよかった。
「考え事なんて余裕じゃん。やっちゃって」
かや子が特級呪霊に命じると、呪力の衝撃破を放ってくる。
しまった……!
逃げようにも 範囲攻撃だ。直撃は避けられない!
どうにか衝撃を緩和するべく姿勢を低くしようとした、そのとき――……。
「【夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらん】」
パァッと月の光が視界を覆う。衝撃が おさまった気配に目を開くと、伏黒のいる場所を残し、周囲に更地が広がっていた。