夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第11章 アディラートに奮い立つ【東京第1結界】
どうにか死を免れた伏黒は、咳き込みながら その場を離れた。
けれど、逃さないとでも言わんばかりに、サソリの尾のように束ねられた髪が鋭く伸びてくる。伏黒は素早く躱し、逆にそれを掴んで力任せに引っ張った。
「いいんだな!」
反動で悲鳴を上げながら倒れた麗美へ怒声を浴びせる。黙って消えれば見逃してやったのに。
そこへ、外に人の気配を感じて身構えると、別の場所から二枚の紙が飛んできた。とっさに麗美を庇う形で身体をズラすと同時に液体がかかる。
鼻につくこの臭い――ガソリンか!
屋上から降りてきた、上半身裸にサスペンダーでボトムを吊った男が、折れた歯を投げつけてくる。
コイツ、さっき目玉 飛ばしてきたヤツだろ⁉︎
なんで治ってんだ⁉︎ 【反転術式】か⁉︎
伏黒は近くの部屋に麗美を引っ張り、ドアを固く閉ざした。
同時に轟音を立てて爆発が起こり、ドアが悲鳴を立てて吹き飛んでくる。それを力いっぱい押さえつけ、爆発をやり過ごした。
「これで分かったろ。アイツらにオマエを守る気なんてないぞ」
あのとき 飛んできた紙がガソリンを生み出したのは考えるまでもない。その紙は二枚だった。そして 爆発――麗美を巻き込むことを厭わない攻撃だ。
「分かったら とっとと失せろ」
守ってやる義理はないが、見逃してやるくらいならできる。
ふらつきながら部屋を出ようとすると、ドスッと刺さった鋭い痛みに足を止めた。