夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第11章 アディラートに奮い立つ【東京第1結界】
「どういうつもりだ?」
合図ですぐに【玉犬】が動けるように警戒しながら尋ねる。
「君は【死滅回游】について どこまで知ってる?」
「儀式だろ。結界内の泳者たちの呪力を利用して、日本の人間を彼岸に渡し、人ならざる者へ変えるための」
念のため 天元のことは伏せて話すと、レジィが嬉々として口角を上げた。
「へぇ、何 君。羂索と知り合い?」
口ぶりからして薄々 予感はしていたが……どこかにいるとは思っていた。羂索と関わりのある、受肉した過去の術師……!
「今 君が言った『泳者の呪力を利用して』ってところ……おそらく“嘘(ブラフ)”だ。いや、“嘘(ブラフ)”というより、二番手・三番手の計画だと思う」
「何?」
「根拠は三つ」
眉を寄せる伏黒に、レジィは人差し指と親指を曲げて『三』を示した。
「一つ目は泳者の数、二つ目は泳者の実力差、そして三つ目に結界の法則」
約1000人の泳者が十の結界に均等に振り分けられたとして、各結界に100人。
しかし泳者――術師の中には、鹿紫雲や日車のように図抜けた強者がいる。この二人だけで、すでに六十人の術師が間引かれた。二人のような実力者は各結界に一人は必ずいるだろう。
「早い段階で強者だけが残り、【死滅回游】が決着すると?」
「すでに……さ。少なくとも、ここ東京第1はね」
確かに、伏黒も感じていた。この結界内が静かすぎると。
初心者狩りは行われているが それだけ。
【死滅回游】が始まって十二日が経過しているとはいえ、殺し合いを強制されているのだ。もっとあちこちから戦闘音が聞こえていても不思議ではないはず。