夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第10章 ディスペラートの呼び声【裁き/東京第1結界】
「刑法三十九条一項だ。弁識能力と制御能力、いずれかが欠けていると心神喪失となる。渋谷での君は宿儺に肉体を乗っ取られていた」
「なんで宿儺のこと……」
「君は制御能力がなかった。自発的に制御を放棄したわけでもない。つまり――無罪だ。君に罪はない」
自分の問いに答えることなく天井を見つめる日車に、虎杖は眉を寄せて顔を顰める。
「……でも やっぱり、俺のせいだ。俺が弱いせいだ」
――「縋りついてきた手を振り払わないように――私だけは、目を開けていたい」
その行為から逃げた俺も――……。
「……そうか」
呟くように相槌を打つと、虎杖から躊躇うような気配を感じる。
「日車……なんで さっき術式を解いたんだ?」
「初心に還った」
有罪ありきの審理など以ての外だと憤っていた自分が、犯していない罪に責任を感じている虎杖を殺すことの理不尽さ。
弱者救済を掲げているわけではないが、おかしいと思ったことを放っておくことは性に合わない。
そうだ……そうだったな。
だから、弁護士の道を選んだのだ。