夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第10章 ディスペラートの呼び声【裁き/東京第1結界】
「日車君。君は確か、検察官か弁護士を志望していたね。どうかな。裁判官を目指してみないか?」
「……出世に興味のない自分には、向いていません」
上司にそう言われ、日車はもっともらしい理由でその申し出を断った。
・
・
・
人は皆、弱く醜い。
――「縋りついてきた手を振り払わないように――私だけは、目を開けていたい」
あのときは……少なくともあのときまでは、確かにそう思っていた。
他の生物にはない その穢れこそ、尊ぶべきだと思っていたんだ。
それなのに――なぜだ、虎杖 悠仁……!
なぜ、罪を認めた……⁉
【ジャッジマン】から提出された証拠の情報は、開封前から術師本人には共有される。
あの審理で提出された証拠に記載されていたのは、虎杖 悠仁の中に巣食う悪魔――【両面宿儺】について。
――オマエは殺していない!
有罪判決を食らえば不利になるのは分かっていたはずだろう。
それが分かっていて なぜ 否認しない!
なぜ 言い逃れをしない‼
なぜだ! なぜ……‼
真っ直ぐに向けられた虎杖の視線――その眩しさから逃れるように、日車は目を閉じた。
フッとガベルを消すのと同時に、虎杖の拳が日車の腹にねじ込まれ、観覧席を倒しながら後方へ吹き飛ばされる。
ゲホッと咳込むと、虎杖が戸惑ったように「おい」と声を掛けてきた。