夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第10章 ディスペラートの呼び声【裁き/東京第1結界】
刑が確定し、【領域】が解除され、再び劇場に戻ってきた。
人の心に寄り添う――それは人の弱さを理解すること。
被害者の弱さ、加害者の弱さ。
毎日毎日毎日毎日――ずっと食傷気味だった。
醜い――他人に歩み寄るたび、そう思うようになってしまった。
「君もだ……虎杖!」
奥歯を噛み締め、気づけば叫んでいた。
「人は皆! 弱く醜い! オマエがどんなに高潔な魂を望もうとも! その先には何もない! 目の前の闇はただの闇だ‼」
――「嘘つき。無罪になるって言ったじゃないか!」
有罪ありきの審理、被告人による理不尽な怒り……明かりを灯したところで、また眩しい虚無が広がっている。
腰を落として拳を構えていた虎杖が動いた。劇場の脇へと入り、観劇用の椅子を跳ね上げる。跳ね上がった椅子が日車を襲った。
椅子の隙間に学ランが踊る。虎杖が着ていたものだ。しかし、撹乱のつもりだということはすぐに分かった。
背後に気配を感じる。振り返った先では半裸状態の虎杖が、学ランの下に着ていたパーカーを片手に姿勢を低くしていた。投げつけられた赤いパーカーに視界が塞がれる。
滑るように仕掛けられた足払いを飛んで躱すと、畳みかけるように拳を振り上げてくる虎杖へ、日車は【処刑人の剣】を振り下ろした――……。
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