夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第10章 ディスペラートの呼び声【裁き/東京第1結界】
「ほら、もう一回!」
提出された証拠を手にする日車の視線の先で、虎杖が人差し指を立てて先を促す。やがて、日車の背後に控える【ジャッジマン】が口を開いた。
『虎杖 悠仁は、二〇一八年十月三十一日――渋谷にて大量殺人を犯した疑いがある』
二審――通常の裁判であれば、一審の判決に不服があるため、控訴して再度 審理を行うこと。その際に行われる再審理の内容は当然 一審と同じ罪状について。
しかし、【ジャッジマン】の口から放たれたのは別の内容だった。
もちろん、術師本人である日車は同じ内容の審理をするわけではないことを知っている。
【ジャッジマン】のもたらした内容に、虎杖から表情が消えた。
そして――……。
「――あぁ、俺が殺した。これは嘘でも否定でもない」
虎杖の真っ直ぐ逸らされることのない瞳、澱みない声音に、日車は限界まで目を見開き――驚愕する。
どうして……!
真っ先に日車の心中に浮かんだのはその言葉だった。その背後で、【ジャッジマン】の身体が震え、呪力が跳ねる。
『【有罪(ギルティ)】、【没収(コンフィスケイション)】――【死刑(デス・ペナルティ)】……!』
【ジャッジマン】の縫いつけられた瞼が開き、虚ろな眼窩を晒して叫ぶ。
日車のガベルが発光し、剣へと姿を変えた。
――【処刑人の剣(つるぎ)】
【ジャッジマン】から科される最も重い罰――【没収】を付与された【死刑】。
【没収】により術式(虎杖の場合は呪力)の使用が不可能な状態で日車に【処刑人の剣】が与えられる。
【処刑人の剣】に斬られた者は、例外なく必ず死に至る。