夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第10章 ディスペラートの呼び声【裁き/東京第1結界】
【死滅回游】に参加してから、多くの術師と戦ってきた。その経験上、術師は術式が使用できなくなると、基礎的な呪力操作もグダグダになることが多い。長年の勘が鈍るのだろう。
それよりも さらに不利な呪力の使用不可。その状態でここまで戦えている事実。並の連中なら初めの一撃で勝負は決していただろう。油断すれば足をすくわれる。
日車はガベルの柄を長く伸ばして構えた。
――全力で叩き潰す……!
長い柄を旋回させ、虎杖に向けて連撃を叩き込む。彼はそれを素早い身のこなしで見切ってきた。動体視力もいいようだ。
猛攻から逃れ、隙を見て懐に飛び込んでくる。掴みかかろうとした虎杖との間にガベルで壁を作るも、虎杖はガベルの柄を力任せに引っ張ってきた。
日車はガベルを消す。その勢いのまま後方に下がった虎杖が、湯の張られたバスタブをこちらに向けて蹴り飛ばしてきた。
日車は右手に出現させたガベルで、湯を揺らしながら迫るバスタブを叩き壊す。バスタブの破片と共に水飛沫が巻き上がり、虎杖の視界を潰した。
視界の利かない虎杖へ向け、己の身の丈の何倍ものサイズに巨大化させたガベルを振り下ろす。
「んがっ‼」
ドゴッと鈍い音が響いた。叩き潰すつもりで振り下ろした巨大なガベルに、虎杖は踏ん張っている。