夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第10章 ディスペラートの呼び声【裁き/東京第1結界】
かつて甘井は、イジメに加担していた。
直接 暴力を振るっていたわけではない。ただ そういった連中とつるみ、傍観していたのだ。
コイツらは勉強も運動もパッとしないが、プライドだけは高い。その辺を傷つけないようにヘラヘラと調子を合わせていれば、コイツらにも他の連中にも、イジメの的にされることはない。
その日も変わらずコイツらは、自分よりも弱いヤツを、ただ自分が強いと実感したいだけの下らない理由で踏みにじっていた。
そして、甘井もただ保身のために、何をすることもなく、傍観することで加担していた。
「――やめろよ」
怒りを含んだ低い声音。制服は西中の学ラン。
馬鹿がもう一人――当然、矛先はその中坊に向く。呆れつつも、中坊に「逃げろ」と言うことも、仲間を「やめろ」と止めることもせず、ただ乱入してきた中坊に呆れた――そのとき。
――ゴンッ!
中坊が向かってきた仲間の一人をぶん殴った。「暴力反対!」とさらに仲間が向かってくるも、中坊は素早い身のこなしで反撃し、その場にいた仲間全員をたった一人で打ち負かす。
「……アンタは?」
冷めた目を向けてくる中坊に、何も答えることはできなかった。
――【死滅回游 泳者】虎杖 悠仁、甘井 凛
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