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夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】

第10章 ディスペラートの呼び声【裁き/東京第1結界】


 行き場のない高齢者に対するシェルター運営や自立支援が主な活動。大江はそこで、仕事として彼らの世話をしていた。

 だが、彼に給料は支払われていない。お小遣いと称してお年玉を貰ったり、弁当の食材の現物支給のみだったり……にも関わらず、大江は月五万を家賃として徴収されている。

 入居者には前科のある物も少なくない。さらに凶器の提出が遅れてしまった理由も、パトカーや救急車を呼べば近所迷惑になるからと、呼んではいけない決まりなのだと言う。

 限りなく違法に近い、グレーの団体。

 ただでさえ東北は震災復興資金が流れ込んでから、運営実態の怪しいNPO法人が増えている。凶器が落ちていても不思議ではない。


 ――大江がシロの可能性は十二分にある。


 そこからさらに調査を進めた。

 世論は有罪一色。国選弁護人だから報酬も安い。しかも殺人で執行猶予もなし。死刑の可能性だってある。

 なぜこんな案件を受けたのかと責め立てるパラリーガルに、男は「楽な仕事ばかりじゃ腕が鈍る」と短く返した。


 ――古い記憶が蘇る。


 男は前に、飲酒運転による危険運転致傷の弁護を担当したことがあった。

 被告人は十九歳。飲酒も運転も職場の同僚に強要されたものだった。しかし、関係者に口裏を合わせられ、示談金も用意できず、執行猶予も取れないまま実刑判決が下された。
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