夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第9章 そして始まるアンシオーソ【結界/東京第1結界】
「なんじゃワレェ! 人の女に何しとんのじゃ‼」
バキッと無線機を片手で破壊する男。頭部にヘリコプターのようなプロペラがついている。先ほどの女と似た術式のようだ。
日車のことはこちらの男に聞けばいいか。知り合いのようだし、それほど情報に差もないだろう。
考えを改め、虎杖はもう一度 瓦礫を掴み、呪力を込めて投げた。ヂュンッとプロペラの羽で弾かれる。さっきのようにはいかないか。
虎杖は駆け出し、屋上の縁を踏み込み、空を飛ぶ男の足を掴んだ。重みで近場のマンションの壁をドゴゴゴッと砕きながら落下する。
男が身を低くし、プロペラの羽で虎杖を斬り刻もうとするが、それを躱し、高いビルから低いビルへと場所を移った。
上を常に取られるのは厄介だが、こちらを殺そうとすれば下に降りて近づくしかない。ならば、屋内で迎え撃つ。
不意に男は腕を組んで身体を直線にし、頭頂部のプロペラを虎杖へ向けた。そして、細長い壁を、鉄器コンクリートを砕きながら迫ってくる。
「スムージーにしたらぁっ‼」
こっちに頭頂部のプロペラを向けたな。
先ほどの飛行機女は、ビルをブチ抜く強度がありながら、呪力を込めた小さな石を一つ投擲しただけで墜落した。“縛り”の関係なのだろう。
おそらく、この二人の術式の基軸が頭髪から離れるほど強度が落ちる。
だが、どんなに固かろうが 頭は急所だ。攻撃さえ届けばかち割れる!
虎杖はプロペラの中心に拳をねじ込む。
狙いは外れていなかったようで、プロペラの羽が折れ、男が頭過多血を流す。その反動で虎杖の拳からも血が噴き出した。