夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第9章 そして始まるアンシオーソ【結界/東京第1結界】
「いたぁい! いたぁいよぉ!」
結界に入った途端 落下していたところを襲われた伏黒は、【鵺】と連携して返り討ちにした。
長い髪をサソリの尾を彷彿させる髪型に、露出の高いドレスを身に纏う女は、細い肩を震わせ、打たれた頬を押さえて泣く。
「どぉして こんなことするのぉ?」
「そっちが襲ってきたんだろうが」
伏黒は冷ややかな視線で女を見下ろし、呪具の切っ先を向けた。
虎杖と詞織がいない。想定外のはぐれ方をした。
伏黒は【鵺】に「どうだ?」と尋ねるが、【鵺】はフルフルと首を振る。
【鵺】でも見つけられない――【死滅回游】の結界は渋谷よりずっと広い。おそらく、二人とは二キロメートル以上 離れているだろう。
だが、目指す場所は決まっている。焦る必要はない。
――「もし 本当に兄さまに津美紀を助ける気がないっていうなら……わたしが津美紀を助ける」
思いつめた表情でそう言った詞織の横顔が過ぎった。
アイツは絶対 無茶をする。詞織は根が頑固だ。その上、変に極端な考えで突っ走りやすいところもある。
できれば早めに合流しておきたいが……この状況じゃ無理か。