夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第9章 そして始まるアンシオーソ【結界/東京第1結界】
「その『やらなきゃいけないこと』は、戦うことでしか得られないものかい?」
「あなたも【死滅回游】のルールは分かってるはず。戦って相手を殺し、点を得られなければ死ぬ」
「そうなんだよねぇ。なーんか難しくて分かんないとこ 多かったけど、そこだけは よぉく分かったわ」
こちらの事情は伏せて 現実を叩きつけてやると、髙羽はへなへなと眉を下げる。
その様子に、詞織の戦意は完全に挫かれた。詩音も『話にならない』と意識の深くへ帰っていく。
「じゃあ、もう一個。日車って、君にとって何してくれる人?」
「……あなたに言う必要ある?」
無理だ。どうにも勝てるイメージが掴めない。
それに、髙羽の持っている術式――先ほど呪具を弾き飛ばしたものや、電撃のダメージをゼロにしたもの。
どんなものか まだ確証は得られないが、自分の持つ【歌楽具現術】と同じ、イメージの具現化が真っ先に思い当たる。
この推測が正しいと仮定して、前衛のサポートをすることで真価を発揮する自分に対し、髙羽は前衛タイプだ。さらに こちらのようなタメもいらない。
「はぁ……もういい。あなたを倒すことが目的なわけじゃない」
点は必要だが、第一の目的は日車を説得し、彼の持つ100点で『ポイントの譲渡を可能にする』総則を追加すること。
現時点では、戦って相手を倒しても5点しか得られない。
相手に戦意がないのなら、深追いする必要はないだろう。
詞織は髙羽を素通りして先を進む――と、背後から足音が追って来た。