夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第9章 そして始まるアンシオーソ【結界/東京第1結界】
「うぉ⁉」
グネッと身を捻り、拳が避けられる。足払いも跳ねるように躱され、次の攻撃も大きくのけ反るように避けられた。
妙な苛立ちが募っていく。当たらないからではない。髙羽のクネクネとした気色の悪い動きが癇に障るのだ。
詞織は一度 距離を取る。
「――【天雲に 近く光りて 鳴る神の 見れば畏し 見ねば悲しも】」
「アババババババッ⁉」
稲妻が直撃し、髙羽が倒れる――はずだった。それなのに、彼は倒れることなく、テヘッ☆と舌を出している。
本気で放ったのに、ダメージを受けていない⁉
なんだ、コイツ。今まで戦ったことのないタイプ。
こんな ふざけた戦い方をしているのに――……強い!
はっきり言ってやりにくい。戦意が微塵も感じられない。
せめて 先ほどの剣持のように、積極的に攻撃してくれば、こちらも相応の対処ができるのに。
そんなことを考えていると、彼は一転、至極 真面目そうな表情でこちらを見た。
「キミ、無理してるだろ。そんな顔をしてる」
「無理なんてしてない。わたしには やらなきゃいけないことがある」
そう返しながら、先ほど弾き飛ばされた呪具の短剣を拾い、切っ先を髙羽に向ける。