夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第9章 そして始まるアンシオーソ【結界/東京第1結界】
「単刀直入に聞く。日車 寛見を知ってる?」
「残念だが知らないな」
「だったら 点だけもらう」
詞織がグッと地面を踏みしめると、男はバッと両手を大きく掲げて叫んだ。
「武器を捨てなさーい! キミは! 完全に包囲されている――ッ‼」
「は……?」
そんなわけないだろ、と思わず面食らったその瞬間――バチッと手が痺れ、呪具が弾け飛んだ。
「え……何で……⁉」
術式⁉︎ いったい何をした⁉︎
得意顔でこちらを見てくる男を警戒しつつ、詞織はコガネを呼ぶ。
「コガネ、情報開示」
『あいよ』
《髙羽 史彦》
得点:000 変更:00回
滞留結界:東京第1
髙羽――得点なし。先ほどのようにいくらか点を持っていれば、ある程度 実力者が分かるが、この男を点数で測ることはできない。
出で立ちや纏う気配から見て、過去の術師ではなく、覚醒タイプの術師のはず。
次にどんな一手が来るか分からないながらも、そこまで分析する。
『詞織、この変態はあたしが殺すわ。あなたに いつまでもこんな下品なものは見せられない』
「詩音……それは……えっと……」
警戒するつもりで男を見ていると、段々と思考が鈍ってきた。
ダメだ。視界の情報のインパクトが強すぎる。
いや、大丈夫。相手は術師だ。殺せば5点。
それが分かっていれば充分。
詞織は男――髙羽と距離を詰め、拳を振るった。