夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第9章 そして始まるアンシオーソ【結界/東京第1結界】
「一つ、聞きたいことがある」
「何だい?」
ライフル銃が自動拳銃に変わり、銃口が向けられる。任意の武器を生み出せる。あれがこの制服警官――剣持の術式だろう。
いつ弾丸が発射されてもいいように、防御効果のある和歌を頭の中で反芻しながら続けた。
「日車 寛見って人、知ってる?」
「知ってるよ。100点 持ってる岩手の優秀な弁護士先生でしょ? ほぼクロの被疑者を弁護して、一審で無罪を勝ち取った話は警察の間じゃ有名だ。そっちの意味でもヤバいよね。僕はしがない交番勤務の警官だけど、岩手の刑事たちの苦労を考えるとやるせないよ」
「そういう話はいい。どこにいるの?」
問いを重ねると、剣持は「えぇ?」と軽薄な笑みを浮かべた。
「本官に勝てたら教えてあげようかな?」
「そ。分かりやすくて助かる」
そう言って、詞織は身を低くして剣持に迫る。距離を詰めれば的は大きくなってしまうが、不意打ちくらいにはなるだろう。
詞織の思惑通り、虚を突かれた剣持の動きが鈍った。詞織はそのまま呪具の剣を横に凪ぐ。
――キンッ!
その切っ先を、剣持が刀で受け止めた。