夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第8章 覚悟が回すスターホイール【熱~東京第一結界】
秤が在学中――遭遇した話だ。
たまたま廊下を歩いていると、星也が五条に何かを相談していている場面に出くわした。
「えぇ~~⁉ 山一つ消し飛ばしちゃったの⁉ 珍しいじゃん、星也がそんなミスするなんて‼」
そんな五条の揶揄うような響きを持った驚きの声に、秤は思わず足を止める。ミスの一言で山を消し飛ばすって……さすが、特級ともなるとスケールが違う。
「ちょっと、腹の立つことがあったんで」
腹が立って山 消すなよ。日本地図が変わるだろ。
「星也がそんな怒るって、何があったのさ。グレートティーチャー五条が聞いてあげるよ」
ほれほれ、と耳を貸す五条に、星也はほんの微かに眉を寄せ、一つため息を吐いた。
「……一緒に任務に同行した補助監督が、姉さんをいやらしい目で見てたんですよ。その上 妙に煽るというか、学生だからと侮ってくるような発言が多くて……侮られる分は別にいいですけど……姉さんを“そういう”目で……」
「え、何それ? クビにしたらいいってこと? 簡単だけど。すぐ やるよ?」
先ほどまでニヤニヤと軽薄な笑みを浮かべていたとは思えないほど、五条の声音は冷え切っていた。
すでにスマホを準備しており、今にも一報を入れ、その補助監督に解雇通知を出しそうな雰囲気である。
「っていうか、星良をいやらしい目で見て? 特級認定されてるオマエを侮って? 随分と舐めた真似してくれるね、ソイツ。呪術界に存在する価値ないじゃん。なんで補助監督やってんの? どこの誰? 名前は? 住所 分かる?」
畳みかけるような質問攻撃に、星也は「別にいいですよ」と首を振った。