夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第8章 覚悟が回すスターホイール【熱~東京第一結界】
「とりあえず、詞織を泣かせたオマエを一発ぶん殴っていいか?」
「……勘弁してください」
なんか、前にもこんな やりとりをしたことがあるな。
さすがに あれだけ殴られていて、これ以上 殴られたいとは思わないだろう。せっかく詞織がかけた【反転術式】を無駄にするのも嫌だし。
そう思って、伏黒は代わりに虎杖の胸を強めに叩いた。
「オマエが部品なら、俺も詞織も部品だ。【呪い】を祓うのと、【死滅回游】を終わらせる部品。そのこと忘れんな」
虎杖がなぜ これだけ極端な考え方をするようになったのか。その理由は分かっている。
宿儺の奪った命――その償いのために、感情を殺して道具に徹する。
虎杖は自分に救いを求めていない。なら、一緒に背負うだけだ。
宿儺の罪は、あの日 虎杖を救う選択をした自分たちの罪でもあるのだから。
けれど――あの日の選択が間違いだったと伏黒は思っていない。そう考えると、自分の方が虎杖よりも罪深い。
虎杖は頷くことはせず、ただ気まずそうにこちらから視線を逸らす。まぁ、こんな言葉で納得するとは思っていない。
伏黒はため息を吐き、秤へ視線を向けた。
「現状の説明から始めます。いいですか?」
「わぁーったよ」
駐車場の階段に移動して腰をかけた秤に、伏黒は渋谷で起きた未曾有のテロの顛末を説明した。
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