夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第8章 覚悟が回すスターホイール【熱~東京第一結界】
秤が指先で降りてくるようジェスチャーをすると、真っ先に詞織が「ユージ!」と飛び降り、こちらに駆け寄って来た。
その間に、どういうわけか、虎杖は秤からゴンッともう一発 頭に拳をもらう。そんな秤から庇うように、「ダメッ!」と詞織が間に割って入った。
「これ以上 ユージを殴るの禁止!」
そう言ったかと思うと、次の瞬間にはバッと押し倒される。ゴンッと地面で頭を打ちつけ、虎杖は思わず「いっ」と呻いた。
「どうしよ……ボロボロ……」
詞織は虎杖に馬乗りになり、肩を震わせる。
彼女が微かに表情を動かして 喜んだり怒ったりするのは見たことがあった。けれど、これほど感情を揺さぶられて泣くのを見るのは初めてだ。
「オマエ……そんな顔もできんだな……何で泣いてんだ? 良かったじゃん、秤先輩 協力してくれるって……」
「そんな話がしたいんじゃない!」
今度はキッと目を吊り上げて怒鳴る。目尻に涙を溜め、胸倉を掴んできた。
「ユージのバカ……! ヒドイよ……自分のこと『部品』だなんて……術師に替えはあっても、ユージの替えなんてないのに……!」
責めるようにドンドンッと胸を叩いてくる。
その言葉は嬉しくて、同時に重かった。
今の自分と向き合うには、部品として己の役割を全うするしかない。
人を殺してしまった罪を受け入れるため、そして 償うために……詞織がどれだけ心配してくれても……。