夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第8章 覚悟が回すスターホイール【熱~東京第一結界】
「虎杖! もういい‼︎」
「もうやめて――‼︎」
ウニ頭が叫び、女が悲鳴のように声を上げた。ゴッと鈍い音が響き、虎杖の身体が吹っ飛び、駐車場の柵へ強かに打ちつけられる。
「痛ぇだろ。五条さんが言うにはな、オレの呪力は他の奴よりザラついてるらしいぜ」
反応がない。死んだか?
骨のある奴だと思ったが、とんだ見込み違いだったな。
「おい、パンダ! ……と、ウニ頭と女。さっさと虎杖 連れて失せろ。二度と――」
背後に気配を感じ、秤は反射的に飛び退いた。虎杖がピッタリと背後に立ったのだ。
「何製だよ、オメェは」
ノーガードで三発も食らっただろ。その前にも しこたま殴った。顔面はボコボコに歪み、血だらけ。
殺さないだけの加減はしたが、手は抜いていない。
「……俺は部品だ。部品には役割があんだろ。【呪い】を祓い続ける俺の役割。それに秤先輩が必要だっていうのなら、アンタが首を縦に振るまでつき纏う。先輩――」
――アンタの役割は何だ?
キッとこちらを見据える、虎杖の強い意志を宿した瞳。そこに宿る“熱”に、秤は息を呑んだ。
――感情も衝動も、何なら正義感すらなく、ただ道具に徹する?
違うだろ。
そんな中身のない部品が、こんな“熱い”わけねぇ。
「いいぜ。何発でも――」
「金ちゃん」
拳を握ったところへ、綺羅羅に名前を呼ばれる。
「熱くなってるんじゃない?」
揶揄うように指摘してきた綺羅羅に、秤は内心でギクッとした。
――“熱”に嘘はつけねぇ。
できれば もう少し虎杖の“熱”を感じてみたかったが、綺羅羅に誤魔化しは利かない。
秤はこれみよがしに ため息を吐き、ウニ頭たちを見上げた。
「オマエら、降りてこい。取引だ」
* * *