夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第8章 覚悟が回すスターホイール【熱~東京第一結界】
「面白ぇ。話は聞いてやる――オマエが立っているうちはな」
肩を大きく回し、ゆっくりと虎杖に近づく。
「金ちゃん! この子たち、金ちゃん助けてほしいんだって! 話を聞いてあげて‼︎」
「今 聞くっつったろ」
え、と女とウニ頭が戸惑ったように顔を見合わせ、パンダが「じゃあ いいのか?」と首を傾げる。
話は聞いてやる。だが、虎杖を殴る手は止めない。
「なぁ、虎杖。なんでオレなんだよ。オレたち初対面だよな? なんでオレを頼る?」
「先輩たちがアンタを強いと言ったからだ」
虎杖の回答に、秤は大きく舌打ちをする。
「だと思ったよ……!」
拳に呪力を込め、苛立ちを隠すことなく、思い切り虎杖を殴り飛ばした。
「術師が術師にするお願いは、『一緒に命を懸けてください』が前提だろうが! テメェはオレに命を懸けさせるだけの“熱”を! 今! ここで! 伝えなきゃなんねぇんだよ‼︎」
ただ黙ってサンドバックになっても、“熱”を伝えられるわけがない。
命を張るのだ。
それなりの“熱”がなきゃ、誰も動かない。
それを、言うに事欠いて『人に言われて来ました』なんて言われて、『はい、分かりました』と頷くわけがない。ガキの遣い感覚で来てんじゃねぇよ。
学長の夜蛾は何をしているんだ。こういうヘタレを間引いておくのが アンタの仕事だろ。
「……俺に熱なんてねぇよ」
虎杖の言葉に、「あぁ?」とさらに苛立ちが募る。
「俺は部品だ。術師が【呪い】を祓うための……祓い続けるための、部品」
「オイオイオイ。マジか、オマエ」
感情も衝動も、何なら正義感すらなく、ただ道具に徹する?
頭がイカれてんのか。
そんなの……。
「超つまんねぇじゃん……!」
秤は拳に呪力を溜め、大きく振りかぶった。もう二度と、つまらない口が聞けないように。