夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第8章 覚悟が回すスターホイール【熱~東京第一結界】
「強い弱い以前に未成年」
「気にするタイプにゃ見えねぇな」
そう言いながら、秤は二人分のグラスにコーラを注ぎ、一つを虎杖に渡した。
「そういや、知ってるか? 五条 悟も下戸なんだ」
ドキリ、と一瞬 心臓が跳ねるも、虎杖はそれを顔に出さないよう「へぇ」と相槌を打ちながらグラスに口をつける。
「五条って誰? っていうか、『も』って……俺は別に……」
すっとぼけて話を続けようとする虎杖に、秤は大きくため息を吐いた。
「あのなぁ、五条 悟を知らない術師がいるかよ」
先ほどよりも低いドスの効いた声音に、空気がチリ…と震える。
しまった……!
――「変に知らないフリしすぎると、逆に怪しまれる」
そう詞織も言っていたではないか。
そりゃあ、呪術界では五条は有名人だよな。一般の術師にとっての常識や手に入りにくい情報を、伏黒たちに聞いておくんだった。
「何で知らないフリをした?」
何も答えられず、ダラダラと冷や汗を流す虎杖の前で、秤がコーラを一気飲みし、カンッとテーブルに叩きつけるように置いた。
「オマエ、高専の回しモンか?」
「聞いて! 俺は――!」
ヒュンッと秤の持っていたグラスが飛んでくる――瞬間、電車のドアが虎杖を挟むように出現していた。とっさに飛び退いたところへ、秤が目前まで迫ってくる。