夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第8章 覚悟が回すスターホイール【熱~東京第一結界】
「オレは“熱”を愛している。“熱”は『ギャンブル』で、『ギャンブル』は『人生』だ。そして、『愛』とは『支配』だ。オレは、ゆくゆくは賭け試合(ファイトクラブ)で、この国の“熱”を支配したい」
呪霊の存在が公表され、総監部もロクに機能していない。今がチャンスだと彼は強く語る。
あらゆる障害を潰し、来(きた)る呪術規定の改訂に乗じ、賭け試合の存在を公に認めさせるのが最終目標らしい。
「兎にも角にも優秀な駒がいる。虎杖――オレの“熱”に浮かされてみないか?」
間違いなく、スカウト――理屈は分からないし、秤の話は暴論で共感できる部分も少ない。だが、共感できるかどうかは どうでもいい。
自分は秤のお眼鏡に適った。
――「高専の話をするのは最後だ」
伏黒はそう言っていた。
今がそのタイミングではないか?
正直、賭け試合も“熱”も、虎杖には興味のないこと。しかし、秤が自分に協力を求めるのであれば、その見返りに こちらも【死滅回游】の平定に協力してもらう。
「……胴元、相談が……」
そこへ、テーブルに置かれた秤のスマホが、ペコペンと緊張感のない着信音を鳴らした。彼は電話に手を伸ばすことすらせず、音を鳴らす自分のスマホをジッと見る。
不意に着信音が途切れると、秤は立ったままの虎杖を見上げた。
「虎杖、何か飲むか?」
「あ、じゃあ適当に……酒以外で」
「なんだ、弱いのか?」
なぜ 電話に出なかったのか気になったが、虎杖は誘われるまま床に腰を下ろす。