夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第8章 覚悟が回すスターホイール【熱~東京第一結界】
「そう。オマエが感じた通り、これは典型的な詐欺だ。騙す側は金持ちを装って、金持ちの成り方を売り、金を手に入れる。普通に考えれば分かることだが、騙されるアホはアホほどいる。なぜか――それは全て“熱”のせいさ」
「熱?」
思わぬ単語に聞き返す虎杖へ、秤はトントンとこめかみを叩いて示した。
「騙す側も騙される側も持っている、『ここで人生 変えてやろう』って“熱”さ」
“熱”に浮かされ、人は判断を誤る。だが、“熱”がなければ、恋一つできない。
――オレは“熱”を愛している。
「よりダイレクトな“熱”のやり取り……何か分かるか?」
「……ギャンブル?」
少し考えて、先ほどの試合を思い出した。入ったときは静かに値踏みをしていた観客が、金を賭け、試合が始まると共に ものすごい熱量で興奮しだしたことを。
虎杖の回答に、秤は喉を鳴らして笑う。
「やっぱり オマエは分かってる。生きることはギャンブルだ。賭け事を嫌悪してオレをフッた女は山ほどいるが、奴らは根本を間違えている」
この社会は、大きく張れない奴と引き際を知らない奴から 振り落とされていく。
ギャンブルをしていない人間なんていない。奴らが憎んでいるのは賭け事ではなく『敗北』と『破滅』である。
「できるだけ穏やかに暮らしたい人もいるんじゃ……?」
あまりの暴論に一言 言うと、「ンな奴 知らないね」と突き放された。