夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第7章 彼が求めるフリオーソ【潜入/熱/きらきら星/部品】
「――【小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ】」
「は……?」
突如、足が動かなくなった。反射的に下を見れば、紅葉の枝葉が足に絡みついている。
――しまった⁉
詞織の呪力についた《★Mimosa》は《★Acrux》と隣り合わせ。無条件で触れることができる。
気づいたときにはもう遅い。拘束を解こうともがく綺羅羅の背後から伏黒の犬の式神が現れ、抱きつくように身動きを封じられた。
いったい どこから――しかし、思い返してみれば、伏黒が犬の式神を解除するのを見ていない。
同じ星同士のどちらが引かれるかも見破られているのか?
自分と式神の間に壁を挟んで、引き寄せられる式神を壁につっかけておき、綺羅羅が線上に立ったタイミングで式神を放つ。
今は伏黒と同じ星がついているため綺羅羅にも引き寄せられているが、本来は綺羅羅を巻き込んで自身に引き寄せさせるつもりだったのだろう。
今 思いついた作戦ではない。
それに、黒髪の少女の術式の発動は犬が近づいてくるより前―― 分かっていないとできないタイミングだ。かなり早い段階で仕込んでいたことは充分に察せられる。
恐ろしきは序盤でその計画を立てた頭の回転の速さ。
いつの間に話し合っていたんだ?
伏黒の方へ引き寄せられる。このままでは捕まってしまう。
「くっ……」
《★Acrux》はすでに他の三つの星を巡り終えており、《★Ginan》につけ替えれば扉が突破される。
なら、《★Gacrux》につけ替える? 本当にそれでいいのか?
ダメだ、考えが纏まらない。とにかく、この犬の拘束を解かないと……。
――【星間飛行】――解除。
拘束から逃れるために術式を解除し、抵抗するべく犬の式神の腕の中で身を捩った。
だが、それより早く、瓦礫の山から脱出した伏黒に地面に打ち伏せられ、綺羅羅は腕を拘束されていた。
* * *