夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第7章 彼が求めるフリオーソ【潜入/熱/きらきら星/部品】
「メグ、でも……」
もし自分の予想通りなら、【脱兎】も【玉犬】のように伏黒に引き寄せられる可能性がある。
それも、【脱兎】を使って綺羅羅の術式を探るのであれば、相当数を呼び出す必要があり、それが引き寄せられれば、最悪 押し潰されて窒息してしまう。
それは伏黒も承知の上らしく、「いい」と短く返してきた。詞織はそれとなく伏黒から距離をとる。それを確認して、伏黒が術式を発動した。
――【脱兎】!
屋上を呑み込むほどの大量の兎――【脱兎】が召喚される。
伏黒が何をやろうとしているのかは分かっている。
【玉犬】は伏黒から離れられない。そして、パンダは綺羅羅にもモニタールームに近づけず、伏黒と綺羅羅も近づけない。
伏黒が知りたいのは、どこに近づけて、どこに近づけないのか。
詞織は目を凝らして【脱兎】の群れを観察する――そのとき、【脱兎】一体一体に何か書いてあることに気づいた。
――《★Acrux》
【脱兎】たちに書いてあるのは、全て《★Acrux》――星の名前?
近づける場所と近づけない場所がある。なら、と詞織はモニタールームを見た。ドアに何か書いてある。
――《★Gacrux》
「わ、わぁ……っ!」
【脱兎】がキュゥキュゥと鳴きながら甘えるように飛びついてきて、詞織を上の階へ押し流していく。伏黒も移動したのか、【脱兎】が次第に上の階へ引き寄せられているようだった。
不意に、【脱兎】がドロリと溶け、パシッと弾けて消える。伏黒が術式を解いたのだ。