夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第7章 彼が求めるフリオーソ【潜入/熱/きらきら星/部品】
「アンタらは、五条 悟にいくらでもケツ拭いてもらえるじゃん。アタシらに頼る意味が分かんない……ってことは、頼ってきたのはウソで、他に目的があるって考えるのが普通じゃない?」
「ち、違う!」
反射的に詞織は叫ぶも、綺羅羅は冷めた目でこちらを見た。けれど、警戒しているという理由だけではない。
自分は夕方、綺羅羅と会ったときに嘘を吐いた。信じてもらえるわけがない。
「五条先生は封印されました。だから 負けたんです」
「…………」
伏黒の言葉に、綺羅羅がキョトンとした顔で目を瞬かせている。「なんで そんな分かりやすいハッタリ かましてんだ?」と言わんばかりの虚無顔だ。
まぁ、信じられない気持ちはよく分かる。
五条 悟は術師ならば誰でも知っている、自他共に認める現代最強の術師だ。それが敵に遅れをとる姿など想像つくはずもない。自分も綺羅羅の立場なら同じ反応をしたことだろう。
五条が封印されたのは事実だが、それを言葉だけで信じさせるのは困難だ。
けれど、綺羅羅は秤に一番近い人物。説得できれば、彼との交渉がスムーズに進むだろう。何が何でも押さえておきたい。
そう考えたのは伏黒も同じようで、彼は「少し離れろ」と小さく声をかけてきた。
あの掌印――【脱兎】?
このタイミングで撹乱用の式神……?
当然、意味もなく呼ぶわけではない。何か考えがあってのことだろう。
【脱兎】でできること――そう考えて、詞織はとっさにその場全体へ視線を走らせた。
分かった。伏黒は術式を看破するつもりなのだ。