夢幻泡影②【呪術廻戦(死滅回游〜)/伏黒 恵オチ】
第7章 彼が求めるフリオーソ【潜入/熱/きらきら星/部品】
非常口に到着した詞織は、カメラの位置を確認した。入口から少し離れた位置。やはり、角度から見ても ドアを開くとちょうど死角ができる。
詞織はここへ来る途中で拾った小石を扉に向けていくつも投げる。その音を不審に思ったのか、足音が近づいてきた。
「なんだぁ?」
ガチャッとドアが開かれる。生み出された死角に詞織は素早く身を隠し、非常口から駐車場内へ侵入した。さらに、ドアを開けた男の顔面に膝を叩き込み、気絶させる。
「ごめんね」
そこへ、「おーい、どうだった?」と奥から呼びかける声が聞こえた。やって来た男と、バチッと目が合う。
「なんだ、このガ――」
最後まで言わせず、詞織は勢いよく迫り、男の腹に両手で掌底を叩き込んだ。
伏黒や虎杖には敵わないが、体術自体は苦手ではない。幼い頃から五条に叩き込まれ、兄である星也に指導を受け、交流会前には狗巻に精度を上げてもらっている。
「安心して。手加減はした」
パンパンッとめくれた服を整え、詞織は伏黒の到着を待った。
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「おい、見ろよ」
通りかかった二人の男の前で、パンダはタイヤと戯れながら、つぶらな瞳で愛嬌を振りまく。その様子に、目つきも顔つきも悪い男たちの表情がわずかに緩んだ。
「……ギョニソ食うかな?」
「いや アイツ、トーナメント出てたろ」
その隙に二人に近づき、二人にそれぞれ拳と蹴りをお見舞いし、一瞬で沈黙させる。
「ギョニソはもらってくぜ」
もちゃもちゃと魚肉ソーセージを頬ばりながら、パンダは屋上を目指した。
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