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星の歴史

第1章 1〜3


「この箇所」

 写本を彼女の前に置く。

「原典では数値が一刻分小さい。ここでは大きい」

 女は顔を上げる。そこにあるのは驚きよりも確認の色だった。

「原典をご覧になったのですか」

「当然だ」

 即答。

「誤写です」

 彼女は頁を確かめ、静かに頷く。

「ええ。前の写本から写したものですから」

「劣化だ」

 言葉は冷たい。

「写本は常に原典に劣る。劣化の連鎖だ」

 それは指摘というより断罪に近かった。
 蝋燭の火が揺れ、整いすぎた横顔に影を落とす。
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