第1章 不器用な情熱【獄寺夢】
【おまけ】
昨夜の熱が、まだ肌に残っている気がする。
銀髪の隙間から見えた、彼の熱を帯びた瞳。
何度も名前を呼ばれ、愛を刻み込まれた記憶が蘇り、登校中も顔が火照って仕方なかった。
教室の扉を開けると、そこには既に自分の席に座っている獄寺くんの姿があった。
いつもなら「よぉ」と短く挨拶を交わすだけなのに、彼と目が合った瞬間、獄寺くんがパッと顔を赤らめ、けれど逸らさずにじっとあたしを見つめてきた。
「……お、おはよう。」
「おはよう、隼人くん」
不意に名前を呼ぶと、獄寺くんは椅子をガタッと鳴らして立ち上がり、無言であたしの席までやってきた。
そして、周囲の目も憚らず、あたしの肩にポンと手を置き、耳元で低く囁いた。
「……体、痛くねーか? 無理すんなよ」
「っ、声が大きいよ……!」
そのやり取りを、少し離れた席から見ていたツナ(沢田綱吉)と山本武が、ポカンと口を開けて固まっていた。
「……ねえ、山本。……なんか、獄寺くんの雰囲気が違わない?」
ツナがおずおずと口を開く。
「あはは、そうだな。なんていうか……。今までも仲良かったけど、今の獄寺はこう、隙がないっていうか、ちゃんを完全に『自分の陣地』に入れてる感じがするな!」
山本がカラッとした笑顔で核心を突く。
そう、今の獄寺くんからは、隠しきれない「独占欲」と、一皮剥けたような「男の色気」が漏れ出していたのだ。
そこへ、獄寺くんがツナの方を向き直した。
「十代目! おはようございます!」
「あ、おはよう獄寺くん。……あの、なんだか今日、すごくご機嫌だね?」
「ええ! ……まぁ、色々と『決着』がつきまして。……俺はこの女を、一生守り抜く決意を新たにしました!」
「決着!?」
ツナが裏返った声を出す中、獄寺くんはあたしの髪を愛おしそうに指先で弄り、さらりと指を絡めてきた。
机の下で繋がれた手は、昨夜の熱さを思い出させるほどに強く、そして優しく握られている。
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