【地獄楽】✼••極楽へ至らぬ者たち••✼【R指定】
第5章 ✼••┈••✼蓮の花✼••┈••✼
✼••┈┈┈••✼現在:蓮の房中✼••┈┈┈••✼
懐かしい牡丹(ムーダン)との思い出の夢から目が覚めた。
目を開けた瞬間鼻腔に広がったのは蓮の花の香りだった。
孤蘭は隣で寝ている美しい天仙を見ると、彼の胸に顔を埋めた。
重なり合っている互いの体温が気持ちよくて、もう一度目を閉じる。
「……孤蘭。」
目を覚ました蓮(リエン)が、スリッと孤蘭の頬を撫でた。
愛おしい人を見つめる表情で。
「…蓮…。」
孤蘭もまた彼の名前を呼び、気持ちのよい腕の中にうずくまる。
蓮の心地よい体温を感じながら、孤蘭はやっと分かった。
この慎重な天仙が孤蘭を抱いたのだ。
次は子供を産み。
そしてどうやら本当に自分は死ぬようだ。
その事実に孤蘭は自分が死ぬ悲しみは無かった。
あったのは、牡丹が言ったように自分の死後に蓮が悲しむことへの胸の痛さだった。
「…蓮…。私が死んだら寂しい?」
孤蘭の言葉に蓮は彼女を見たが、孤蘭の顔は自分の胸元に埋もれていたので表情を確認することは出来なかった。