【地獄楽】✼••極楽へ至らぬ者たち••✼【R指定】
第5章 ✼••┈••✼蓮の花✼••┈••✼
牡丹はゆっくり目を開けると笑顔を作って孤蘭に歩み寄った。
「前の孤蘭は、君が産まれる前に死んだから、蓮(リエン)が大変だったよ。」
はぁ、とため息を吐き、孤蘭の横に腰を下ろした。
牡丹の言葉に孤蘭は顔を上げた。
「君が産まれるまで蓮は孤蘭の死体と一緒に宮に篭って出てこなかったから、生きてるか死んでるかも分からなかった。」
「…え…蓮…可哀想…。」
父親の死よりも、蓮の気持ちに寄り添う孤蘭に、牡丹は困惑の色を少し見せたが、すぐに消えた。
「じゃあ私は、蓮が寂しくならないように、蓮が喜ぶことをするね。」
そう言った笑顔の孤蘭を見て、孤蘭は一泊瞬いてまた笑顔を見せた。
「可愛いな孤蘭。蓮が聞いたら喜びそうだ。」
そう言って小さな孤蘭を抱き締めると、頭をガシガシと撫で回した。
本当に。
蓮が喜ぶならなんでも出来た。
産まれて初めて目を開けて映り込んだ薄紫色の蓮の花。
その花のように美しい彼が孤蘭を見て幸せそうに微笑んだ。
その記憶を一生忘れない。
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