【地獄楽】✼••極楽へ至らぬ者たち••✼【R指定】
第5章 ✼••┈••✼蓮の花✼••┈••✼
「……父亲(お父さん)は?」
孤蘭の父親とは、すなわち前の孤蘭のことだ。
牡丹は少し意地悪だけど、この話題は答えてくれると分かっていた。
「………孤蘭は…君が産まれる前に死んだよ。……孤蘭は短命なんだ、1,000年の間で最長でも25までしか生きなかった。」
そう言いながら、牡丹は向けられている小さな背中を見ていた。
この小さな体には生命の期限がある。
これから孤蘭は蓮と交わったあと、初潮を迎えたらすぐに人間とまぐわうことになる。
短過ぎる命の中で、確実に次の孤蘭を産むために。
1,000年の間で幾度となく繰り返されてきた。
そんな孤蘭を繰り返し見てきた、うんざりするような1,000年の中で。
牡丹は不老不死の仙薬を自分が作れたなら。
宗師ではなくて孤蘭に渡すだろうと思った。
牡丹はゆっくりと目を瞑った。
そして考えを改める。
だけど輪廻を繰り返す孤蘭の姿が。
美しくも、羨ましかった。
彼(彼女)たちの生も死もはっきりと覚えている。