【地獄楽】✼••極楽へ至らぬ者たち••✼【R指定】
第20章 ✼••┈••✼蓮✼••┈••✼
孤蘭もそのことは分かっているので、弔兵衛の腕を振り解きたい気持ちをグッと抑えた。
(…ああ…蘭…蘭…お願い…。)
菊花と桃花の時と同じように、孤蘭は祈ることしか出来なかった。
気が狂いそうな不安の中、弔兵衛の腕の中でかろうじて正気を保ちながら、ひたすら蘭の無事を祈った。
願って、祈って。
どのくらい時間がたっただろうか。
蘭のタオが消滅したのを感じた。
「……蘭……。」
次々と大切な人たちが自分を残して逝くその瞬間を繰り返すのは、頭がおかしくなりそうだった。
頭痛が激しく、動悸も尋常じゃない。
それでも孤蘭は弔兵衛の腕が緩んだら、すぐにその体から離れて走った。
両手に菊の花と桃を抱き締めて、出てくる涙を拭うことなく導引宮に向かった。
導引宮に着くと、房中宮と同じように半壊した瓦礫の中で、孤蘭は蘭のタオが残った花弁をかき集めた。
「…蘭…ごめんね…一人で逝かせて…。」
そう何度も謝りながら、蘭の花弁を自分の元にかき集める。
震えて動かしていた孤蘭の手がその内止まった。
体の力が抜けて、孤蘭は力無く蘭の花弁の上に倒れ込んだ。