【地獄楽】✼••極楽へ至らぬ者たち••✼【R指定】
第20章 ✼••┈••✼蓮✼••┈••✼
孤蘭は地面に立つと、弔兵衛を見上げた。
不思議だ。
数日過ごした仮初の夫だったのに、まるで本物の夫婦のような情が芽生えていた。
そんな気持ちでお互いを見ていたと思う。
一度は何も言わずに別れた相手だった。
たった一枚の絹布だけの繋がり。
だけど今は、何故か彼に伝える言葉が自然と出てきた。
「……あなたが夫で良かった…。」
選ばれ、受け入れたのが弔兵衛で良かった。
その気持ちは本物で、孤蘭は真っ直ぐに弔兵衛を見ながら言った。
弔兵衛は孤蘭に何かを言おうとした。
唇が少し開き、すぐに閉じた。
その瞬間、遠く導引宮で蘭のタオが爆ぜるのを感じた。
「蘭!!」
孤蘭はすぐに弔兵衛に背を向けて導引宮に行こうとした。
そんな孤蘭の体を弔兵衛は抱き締めて止めた。
「…今はダメだ。あれは……。」
蘭が鬼尸解(きしかい)をしたタオの爆ぜ方だ。
その場の惨状に孤蘭が向かっても、双方どちらの邪魔になるだけだ。