【地獄楽】✼••極楽へ至らぬ者たち••✼【R指定】
第20章 ✼••┈••✼蓮✼••┈••✼
孤蘭は天仙の庇護の元、一番安全な場所に匿われていると思っていた。
それが目の前に現れて弔兵衛は少しの動揺を見せた。
「…お前…、どうして…。」
しかし孤蘭は、そんな弔兵衛を無視して彼の横を通り過ぎると、その先にある菊花と桃花のタオを見つけた。
人工物の石の床の間から根を生やして咲いている一輪の菊の花。
自由を奪われた足元に、それでも凛と咲いていて隣にある桃に寄り添っていた。
「ああ…菊花…桃花…。」
いつものように寄り添っている二人を見て、孤蘭は涙を流しながら優しく微笑んだ。
孤蘭は菊の花を摘んで、桃を手に取った。
そして自分の胸に抱き締める。
丹田を壊されて消滅した二人のタオが、孤蘭の体を包んでくれている気がした。
「……大丈夫。一緒に逝こう…。」
そう言って目を伏せると、孤蘭の涙が菊の花と桃に数滴落ちた。
二人を抱き締めている孤蘭の背中を見て、弔兵衛はゆっくりと孤蘭に近付いた。
「……お前はここに残さねぇ。」
後ろから呟くように声が聞こえると、弔兵衛の手が孤蘭の肩を掴んだ。