【地獄楽】✼••極楽へ至らぬ者たち••✼【R指定】
第20章 ✼••┈••✼蓮✼••┈••✼
蓮の目は充血していて、『彼』が我慢を強いられているのはすぐ分かった。
「…桂花の元に行け。桂花にはここにある大切なものを守らせている。戦場から一番遠い天仙だ。孤蘭のことも守るだろう。」
蓮の言葉に孤蘭は目を細めて笑って頷いた。
そんな孤蘭の安堵の笑みを見ても、蓮は眉を顰めて拳を握りしめた。
本当は孤蘭の意思なんて無視して、このまま孤蘭を連れて行きたかった。
だけど蓮もまた、常に望んでいたことは、孤蘭が穏やかにその時を迎えることだった。
彼女を愛している。
それが孤蘭が望む愛ではないと分かっていても。
蓮はそれ以上孤蘭の側にいたら自制が効かなくなると分かっていた。
だから背を向けたのは蓮の方からだった。
明らかな未練を残して離れていく蓮の背中を、孤蘭はただ黙って見ていた。
走り出して、彼の背中に飛びつきたい感情を必死に抑えた。
そうして蓮の姿が見えなくなって、孤蘭は自分の涙を裾で拭った。