【地獄楽】✼••極楽へ至らぬ者たち••✼【R指定】
第19章 ✼••┈••✼未極楽へ✼••┈••✼
そんな孤蘭の部屋に入って来たのは弔兵衛だった。
「…どうしたの?あなたも蓮に任されてる場所があるんでしょう?」
今夜、襲撃に備えて弔兵衛以外の天仙もまた、蓮の指示でそれぞれの配置に付いていることを知っていた。
その情報を渡した弔兵衛が自分の部屋に来て、孤蘭は不思議そうに聞いた。
「…………。」
弔兵衛は孤蘭の言葉には応えずに、ゴソッと懐から絹布の切れ端を出して孤蘭に渡した。
「……なに?これ…。」
弔兵衛から薄い絹布の切れ端を受け取ると、孤蘭は困惑した顔で弔兵衛を見た。
孤蘭を見下ろしていた彼の目が、少しだけ揺れた。
「……あの日…、お前が忘れていった羽衣だ。」
弔兵衛がそう言うと、孤蘭は驚いたように目を見開いて、自分の手の中にある絹布を見た。
その色は、牡丹(ムーダン)が最後に肩に掛けてくれた、羽衣の色だったとその時に気が付いた。
「………行くのね……。」
しばらく絹布を見て、孤蘭はポツリと言った。