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Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】

第3章 未完の初恋、ログイン不可の心


廊下に静寂が戻った頃、リカバリーガールがICUに到着した。
彼女の「治癒」は爆豪の生命力を強引に引き出し、傷を塞いでいく。
暫くすると心電図の規則的な音がわずかに速まり、爆豪の指先が力強くシーツを掴んだ。


「……っ、……あ……」


喉の奥から絞り出すような声。
緑谷が息を呑んで見守る中、爆豪の瞼がゆっくりと持ち上がった。
だが、その瞳に宿った光は現実を捉えるよりも先に、仮想世界の残像を求めていた。


「……、……エミリア……」


掠れた声で紡がれたのは、自分たちの知る彼が決して口にしないような熱を帯びて、そして悲痛な響きだった。



「かっちゃん! 気がついたんだね、良かった……!」

「……デク……? ここ、は……」



爆豪は焦点の合わない目で天井を仰ぎ、やがて何かを思い出したように必死な顔で周囲を見渡した。


「……さっき、誰か……ここに、いただろ。……」


緑谷は心臓が跳ねるのを感じた。
彼女にはここに来たことは誰にも言うなと言われている。
かつての「無個性の仲間」であり、今日この場所へ来たくれた彼女の願いを、裏切るわけにはいかない。


「え、あ……誰かって、リカバリーガールならさっきまでいたけど……。あとは看護師さんとか……。ずっと僕が付き添ってたから、夢でも見たんじゃないかな」

「……っ、んなわけねぇだろ……! 明らかに、誰かが……俺の、手を……」



爆豪は苛立ち、上体を起こそうとして激痛に顔を歪めた。



その様子を見て緑谷は少しでも彼の気が紛れればと、ベンチに置かれていた花束を差し出した。



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