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Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】

第4章 ♾️


潮騒の音だけが響く静寂の中、爆豪は腕の中の震えが収まるのを待ってから、ゆっくりと彼女を解放した。


「……落ち着いたか。もう一度、状況を整理させろ」


は涙を拭い、途切れ途切れに説明した。
運営から与えられた不気味な新曲のこと。
歌い終えた後、ログアウトボタンが消滅したこと。
そして、システムを介して人々の怒号が自分に向けられていること。

爆豪は眉間に深い皺を刻み、自身のメニュー画面を空中に叩きつけるように展開した。
だが、そこにあるはずの「Logout」の文字は出ず、何度指を叩きつけても無機質なエラー音が返るだけだった。


「……チッ。運営はどうなってやがる」


爆豪は公式の緊急連絡先へ通信を飛ばしたが、返ってくるのは虚しい砂嵐のようなノイズのみ。
管理者側は完全に沈黙を貫き、この監獄を黙認しているようだった。


「ここに長居はできねぇな。いつ誰が嗅ぎつけて来やがるか分からねぇ」


入江は二人だけの秘密の場所だが、今の異常事態では、執念深いユーザーや運営の追跡がどこから現れるか予測がつかない。
周囲を警戒するように視線を鋭くさせた爆豪に、は意を決したように顔を上げた。


「……私の拠点なら、安全かもしれない。あそこなら、私以外の立ち入りは制限されてるから」












「……ここが、テメェの城か」


爆豪は、窓の外に広がる光景を鋭い眼光で射抜いた。
そこは、永遠の夜が支配する領域『エターナル・ナイト』の中心にそびえ立つ古城の一室。
歌姫として君臨する彼女に運営から与えられた、特別な拠点だった。

眼下には、紫紺の闇にネオンが滲む幻想的な街並みが一望できる。
一般ユーザーも立ち入れるエリアでは、今もログアウトできない群衆が蠢いているのが見えた。
だが、この最上階に近い一画だけは、歌姫の許可なくしては侵入不可能な聖域となっていた。


「BLAST、ごめん……。こんな事に、巻き込んでしまって」


が俯き、自嘲気味に呟く。
運営から与えられたこの特権も、今となっては自分を世間から隔離し、監視するための鳥籠にしか思えなかった。


「あァ? んな湿気たツラしてんじゃねぇよ」


爆豪は乱暴に鼻を鳴らすと、豪華な装飾が施されたソファにどっかりと腰を下ろし、彼女を強引に自分の隣へと引き寄せた。




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