Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第3章 未完の初恋、ログイン不可の心
この世界に彼女の気配はどこにもない。
何があったのか。
何が気に食わなかったのか。
あんなに幸せそうに笑っていたあいつが、なぜ現実で会うはずだった日に、音もなく自分の前から消えてしまったのか。
あの日、二人で食べた雲のケーキ。
いつか本物の花火を見に行こうと誓った約束。
すべてが「データ上のバグ」であったかのように、爆豪の手からこぼれ落ちていく。
「……おい。……おい、ふざけんなよ! 出てこいよクソが!」
誰もいない暗い入り江に、爆豪の絶叫が響く。
だが、返ってくるのは冷たい電子音の潮騒だけだった。
現実に拒絶され、仮想の世界にすら居場所を失った。
爆豪の初恋は、あまりにも唐突に、冷酷な沈黙によって引き裂かれたのだったーー。