Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第2章 初恋は、0と1の境界線上で
「……相手が誰か教えなよ。教育係として、素行をチェックしてあげる」
耳郎がニヤリと笑いながらジャックを弄ぶ。
「教えるかよ! 誰がテメェらに……っ!」
「まぁまぁ。爆豪さんも大変ですわね。ですが、最近そういう『急に雰囲気が変わった恋の話』って、あの話題の新曲ともリンクしますね」
八百万がふふっと微笑みながら話題を振ると、女子たちが一斉に頷いた。
「そうそう! 歌姫のエミリア! 彼女も最近、絶対恋してるよねってファンの間で言われてるのよ」
「だよね! あの新曲の歌詞、あんなに切なくて甘いの、絶対に『誰か』に向けて歌ってるもん」
葉隠がジョッキを振り回しながら興奮気味に続く。
「今まであんなに冷たくて綺麗だったのに、最近のライブだと、なんか柔らかいっていうか……誰かを待ってるような顔をする時があるんだよねー!」
「あの新曲の歌詞とか……あれ、絶対に二人だけの思い出だよね。あー、羨ましい! そんな風に思われる相手がこの世にいるなんて!」
「…………っ」
クラスメイトたちが盛り上がる中、爆豪一人だけが顔を赤くして固まっていた。
「……爆豪? さっきから固まってるけど、本当に大丈夫か?」
心配そうに声をかけてくる轟に、爆豪は答えられなかった。
心臓が耳の奥でうるさいほど鳴り響いている。
賑やかだったそこに、突如として無機質な電子音が重なり合った。
クラスメイト全員のデバイスが一斉に鳴り響く。
それは、プロヒーローたちにとっての休息の終わりを告げる、緊急通報(アラート)だった。
「行くぞ、野郎共! 飲み会はここまでだ!」
先ほどまでの恋バナの熱気は一瞬で霧散し、そこにいた全員の目が切り替わった。