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Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】

第2章 初恋は、0と1の境界線上で


夕闇が街を包み始める頃、爆豪が納車したばかりの車が滑らかに国道を走っていた。
今日は轟のNo.2昇進祝いを兼ねて久々にA組全員が集まるということもあり、爆豪は切島と緑谷を乗せて会場へと向かっていた。


「うわぁ、すごいねかっちゃん! 内装もめちゃくちゃ凝ってる……」


後部座席に座った緑谷が、感嘆の声を漏らしながらシートに深く体を預けた。


「……っ、ふかふかだ。これ、沈み込み方がすごいよ。なんだか『ZERO WORLD』にある雲のソファーみたいだね!」


緑谷の無邪気な言葉に、運転席の爆豪がわずかにハンドルを握る手に力を込めた。
助手席で身を乗り出していた切島が、不思議そうに振り返る。


「雲のソファー? 爆豪、お前よくこんなマニアックな仕様にしたな。普通もっと硬めの革とか選ぶだろ? なんで後部座席だけこんなにフワフワなんだよ」

「……あ? 別に俺の勝手だろ。文句あんのか」

「文句じゃねぇよ! ただ、お前の好みにしちゃあ珍しいなって思ってさ」


切島がニヤニヤしながら問い詰めると、爆豪は窓の外に視線を逸らし、ぶっきらぼうに吐き捨てた。


「…………雲のソファーが好きなやつが、いんだよ」


「「え?」」


緑谷と切島の声が重なる。


「好きなやつって……え、かっちゃん、それって」

「……いつか、リアルで乗せるかもしれねぇだろ。その時、あいつが気に入るようにしただけだ。……それ以上聞くな、殺すぞ」


車内に沈黙が流れた後、切島が「マジかよ!」と声を上げた。



「お前、例の彼女のこと、そこまで考えてんのか! リアルで会う準備万端じゃねぇか! 爆豪、お前意外とロマンチストだよな!」

「るっせぇ! 現実(リアル)で会うなら、こんくらい当然だろ!」


爆豪は緑谷を『ZERO WORLD』に誘った張本人だ。
ダイブしては近況報告や情報の共有をしている。
周年の祭典での事もあり、緑谷は爆豪が大切に想っている「彼女」の存在も知っていた。
切島も飲みの席で偶に聞かされる事もあり、彼女の存在だけは知っていた。


「でもさ、かっちゃん。あの彼女……すごく素敵な人だったよね。かっちゃんがソファーの仕様まで合わせたくなる気持ち、ちょっとわかる気がするよ」



緑谷の言葉に、爆豪は「……余計なこと言ってんじゃねぇ」と耳を赤くして加速する。




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