Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第1章 ようこそ『ZERO WORLD』へ
「おい、本当にこれでいいんだな? 紛いもんだったらぶっ飛ばすぞ」
都内に建つ爆豪のマンション。
リビングのソファにふんぞり返る上鳴の目の前で、爆豪は先日購入し、届いたばかりの最新型デバイスを不機嫌そうに睨みつけていた。
「大丈夫だって! それ、一台につき一人の生体情報しか登録できない専用機だからさ。中古で売るにしても一回リセットしなきゃいけないし、セキュリティは万全だよ。……まぁ、爆豪なら即決で買えると思ったわ」
「チッ、要らなきゃすぐ売る。……で、どうすりゃいいんだよ」
「そのままデバイスつけて横になって。あとは自動で生体認証(ミラージュ)が作られてチュートリアルが始まるから」
爆豪は言われるがままにソファに体を沈め、側頭部に冷たい金属のフレームを装着した。
「あ、爆豪! 俺、先にダイブしてるからな! 『常夜の街』の広場で待ち合わせだぞ!」
上鳴の遠い声を最後に情報の海へとダイブすると、意識は急速に暗転し、肉体の感覚が霧散していく。
真っ暗な視界の先に、無機質なホログラムの文字が浮かび上がった。
『ーーWELCOME TO THE ZERO WORLD!!ーー
この世界での貴方の分身である『ミラージュ名』を登録して下さい』
「……ミラージュ名だぁ? 」
爆豪は意識の中で、迷わず己れの名を打ち込む。
「……あ? 『Katsuki』も『Bakugo』も使えねぇだと? どこのどいつだ、先に取ったクソ野郎は!」
暗闇に浮かぶ登録画面の前で、爆豪は眉間に深い皺を刻んでいた。
本人だとバレるのは癪だが、かといって自分を偽るようなチャラついた名前も反吐が出る。
『その名称は既に使用されているか、保護対象の固有名詞です』
無機質な警告文が繰り返されるたび、爆豪の堪忍袋の緒がブチブチと音を立てる。
「……チッ、じゃあこれで文句ねぇだろ」
半ば投げやりに、彼は指先で新たな名を叩き込んだ。
【 登録名: BLAST(ブラスト)】
爆風という爆破の個性に少しだけ寄せて適当に取った案だが、彼なりの妥協点だ。
今度はエラーは出なかった。
直後、全身を電磁波が貫き、重力が消えた。