Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第2章 初恋は、0と1の境界線上で
「(……ったく、可愛すぎんだろ……)分かった分かった、全部連れてってやるよ」
「本当ですか!? 嬉しい……っ。私、こんなに楽しみなこと、今まで一度も……」
「……はは、気合入ってんな」
爆豪は鼻先で笑い、彼女の頭を優しく撫でた。
「ま、記念すべき『初デート』なんだ。気合入れねぇとな」
「…………え?」
エミリアの動きが、ピタリと止まった。
「……あ、あの、今……なんて?」
「あ? デートつったんだよ。好きな女と二人で出かけんなら、それ以外何があんだよ」
「デ、……デ、デート……っ!!」
みるみるうちに彼女の顔が、限界突破したかのように真っ赤に染まっていく。
「友達」としての延長線上で考えていた彼女にとって、その言葉はあまりに破壊力が大きすぎた。
「……な、何、言ってるんですか、急に……!」
「急じゃねぇだろ。さっきあんなに深くした後に、今更『友達』なんてツラできるかよ、バカ」
爆豪は意地悪く口角を上げると、真っ赤になって固まる彼女の耳元に顔を近づけた。
「……覚悟しとけ。テメェの『初めて』は、全部俺がもらうからな」
その不敵な宣言に、エミリアはもう、波音さえ聞こえなくなるほど激しい鼓動に支配されていた。
あの日以来、爆豪の周囲に漂っていた刺々しい空気は劇的な変化を遂げていた。
「……ダイナマイト。今日の救助活動、実に見事な連携だった」
現場でベストジーニストにそう評された爆豪は「ふん、当たり前だ」と不遜に返しながらも、以前のような周囲を威圧するだけの尖った気配は消えていた。
無事に資金が集まり、完成した最新鋭のアーマーをデクに手渡せたことも、彼の中にあった大きなわだかまりを一つ解消させたのだろう。
足取りは軽く、ヒーローとしての活動にもかつてないほどの冴えを見せていた。
だが、彼を一番変えたのは、現実(リアル)の多忙な任務の合間に訪れる、仮想世界(ZERO WORLD)での穏やかな時間だった。