Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第2章 初恋は、0と1の境界線上で
「……んんっ!? ……っ、ぁ……」
初めて触れられる、粘膜の熱。
絡みつく舌の動きに、脳が痺れ、指先までが自分のものじゃないように震え出す。
彼女にできるのは、ただ彼の逞しい身体にしがみつき、嵐が過ぎ去るのを待つことだけだった。
爆豪は、彼女の微かな震えを敏感に感じ取っていた。
(……嫌がってねぇか? ……怖がってねぇか?)
熱に浮かされながらも、どこか冷徹に彼女の反応を確かめる。
けれど、彼女は逃げない。
それどころか、震えながらも必死に彼を受け入れようとしている。
「…………っ、……はぁ」
その健気さが、爆豪の独占欲をより一層激しく突き動かした。
嫌がっていないことを確信すると、彼はさらに深く、逃がさないように彼女の口内を蹂躙していく。
吐息も、音も、意識さえもすべてを奪い去るような、情熱的で切ない口付け。
ようやく唇が離れたとき、二人の間には銀色の糸が細く伸び、夜風に溶けた。
「……っ、……ぁ、……っ」
エミリアは呼吸を整えることもできず、その場に膝から崩れ落ちそうになった。
全身の力が抜け腰に力が入らない彼女を、爆豪は素早く察し、細い体を抱きしめるようにして支えた。
「……おい。……しっかりしろ」
耳元で囁かれる低い声。
爆豪は彼女を腕の中に閉じ込めたまま、覚悟を決めたように瞳を覗き込んだ。
「……もう、逃げねぇ。……テメェがどこの誰だろうが、関係ねぇ。俺は、……テメェが好きだ。バーチャルとか、そんなもん抜きにして、俺の隣にいろ」
ストレートな彼らしい無骨な告白。
エミリアの胸は、歓喜で張り裂けそうだった。
ずっと一人で誰にも見つけてもらえなかった自分を、彼は見つけ、愛してくれた。
(……嬉しい。……私も、好き……っ)
けれど、言葉が喉の奥でつかえて出てこない。
現実の自分を思い出す。
自分は世界中に知られた歌姫。
もし、彼が「現実の私」を知ったら?
この優しい時間が現実の壁に壊されてしまうのが、怖くてたまらかった。