Tell My World 【ヒロアカ 爆豪勝己】
第2章 初恋は、0と1の境界線上で
「爆豪さぁ、ぶっちゃけ聞くけどさー。最近『ZERO WORLD』、全然入ってねーだろ? お前、あの世界で何かあったな?」
「……るっせぇ。飽きただけだっつったろ」
「嘘つけ! お前があの入り江に通い詰めてたの、俺らは知ってんだぞ」
上鳴が指を突きつける。
「あの『運営の美人の知り合い』……だっけ? 喧嘩したのか? それとも、何かやらかしたのかよ」
「……っ、…………やらかしてねぇわ」
爆豪の声が、一瞬だけ小さく震えた。
それを、プロヒーローとしての洞察力を持つ二人が見逃すはずもなかった。
「……かっちゃん、顔が赤いよ。熱があるわけじゃないよね?」
「ちげぇわ!! ……あー、クソっ!!」
爆豪は乱暴にジョッキを空けると、テーブルに叩きつけるように置いた。
沈黙が流れる。
二人の圧に耐えかねた爆豪は、視線を泳がせながら、極限まで濁した言葉を絞り出した。
「……あいつが、変な顔……してやがったんだよ」
「変な顔?」
「……人生で初めて、誰かと花火見たっつーから……。んなもん、ただのデータの光だろうが。……なのに、あいつ、ガキみたいに目ぇキラキラさせて……」
爆豪は自分の唇を無意識に指でなぞり、すぐにハッとしたように手を下ろした。
「……それで、気付いたら……、……その、……距離を、間違えた」
「「…………距離?」」
緑谷と上鳴が顔を見合わせる。
「……突き飛ばしたの?」
「……まさか、爆破したとか?」
「しねぇよ、ボケ!!」
爆豪は椅子を蹴らんばかりに立ち上がった。
「とにかく、気まずくなって逃げたんだよ! あいつは『初めて』だってのに、俺が……勝手に、加減を……っ」
「……あ。……もしかして爆豪、その子に……」
上鳴の目が点になる。
緑谷も、信じられないものを見るような目で幼馴染を見上げた。
「……『不意打ち』、しちゃったの?」
「…………っ、うるせぇ死ね!! 」
爆豪は真っ赤になった顔を隠すようにお金を置くと、逃げるように店を飛び出した。
背後から「おーい! 爆豪!」「かっちゃん、ちゃんと謝らないとダメだよ!」という声が聞こえてくる。
今の彼には、夜風さえも熱く感じたーー。